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推奨電極型式について
~各種アルコール飲料のpH測定を型式の異なる電極で行い、応答特性から最適な推奨電極を特定しました。~

アルコール飲料のpH測定には、HORIBAの電極の代表的なラインアップ(汎用タイプ-型式名9615S-10D、スリーブ液絡タイプ-型式名9681S-10D)のいずれも測定に適用することが可能です。(測定例は下記を参照ください)。

アルコール飲料を測定する頻度が高い方は、
スリーブ液絡タイプ-型式名9681S-10Dをお勧めします。

スタンダード ToupH 電極 9615S-10D

すばやい安定でドリフトを解消し、測定値の読み取りタイミングも迷いません。

希望販売価格 税抜29,000円

スリーブ ToupH 電極 9681S-10D

粘性の高い試料でも安定した測定が可能です。

希望販売価格 税抜45,000円

測定結果についての注意点

  • アルコールをはじめとした非水溶媒を含む試料は、pHの意味合いが、純粋な水溶液の場合と異なります。このため、ここで示したpH値は、純粋な水溶液系での標準液を基準にした場合の値であり、実際の試料pHを示しているものではありません。
  • それぞれの試料は、含まれる糖分・酸・塩類が異なるため、応答の差異にはこれらの影響も含まれます。

測定上のヒント

  • アルコールをはじめとする非水溶媒を含む試料では、ガラス電極の応答が遅くなる場合が多いので、測定値の読取は応答曲線を確認しながら、応答が十分に安定してから行ってください。応答の安定の目安は、30秒間の偏差が0.01pH以内となる事です。これらはLAQUAシリーズの応答曲線表示を活用されると把握しやすくなります。
  • アルコールをはじめとした非水溶媒を含む試料は、ガラス応答膜の表面状態を変動させやすいので、測定後は十分に純水やイオン交換水、pH7標準液に浸して、表面状態を復帰させることをお奨めします。また、測定後の保管時は、電極取扱説明書に記載の通り、純水やイオン交換水で湿らせたスポンジを底に入れた保護キャップをかぶせてください。

アルコール飲料の測定結果
※6377-10Dはすでに販売終了しておりますので、ご注意ください。

<実験内容>

試料:以下の市販のアルコール飲料4種を購入しそのまま測定。( )の数字はそれぞれの試料のアルコール度数を示す。

(a)ビール(5.5%)、(b)ウイスキー水割り(9%)、(c)白ワイン(12%)、(d)ウイスキー(40%)

用いた電極:非水溶媒用電極(型番:6377-10D・液絡:スリーブ形(JIS 記載))、高粘性試料用電極(型番:9681-10D・液絡:スリーブ形)、標準電極(型番:9615-10D・液絡:多孔性セラミック)

測定手順

  1. 三点校正を実施。pH7標準液(中性リン酸塩標準液(pH値6.86))、pH4標準液(フタル酸塩標準液(pH値 4.01))、pH9標準液(ホウ酸塩標準液(pH値9.18))
  2. pH7標準液、試料、pH7標準液の順にそれぞれ電極を浸漬し、電極応答を1秒間隔で取得。
    *ビールの測定時は試料開封後、発泡が十分に収まってから測定を開始。
  3. ウイスキー試料については、2.の後、非水溶媒用電極・高粘性試料用電極について、試料とpH7標準液の浸漬を3回ずつ繰り返し、電位応答を1秒間隔で取得。

結果

図1に4つの試料について、それぞれの電極応答曲線を示します。また、表1にそれぞれの応答曲線から測定開始15秒後、30秒後、60秒後のpH値を抜き出しました。アルコール濃度の低いビール(a)では、いずれの電極でも速やかな応答を示し、測定開始15秒後には応答が0.001pHレベルで安定することが確認できました。一方で、水割り(b)、ワイン(c)、ウイスキー(d)とアルコール濃度が高い試料では、電極応答の安定に30秒以上必要な例が見られ、特に、標準型電極ではその傾向が見られました。

この結果より、アルコール飲料の測定では、スリーブ形タイプの電極がより適していると言えます。

図1:各種アルコール飲料測定時の応答曲線

(a)ビール(5.5%)

(b)ウイスキー水割り(9%)

(c)白ワイン(12%)

(d)ウイスキー(40%)

表1:図1のグラフからの15秒、30秒、60秒のpHを抽出したもの。

※6377-10Dはすでに販売終了しておりますので、ご注意ください。

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