純水、半導体洗浄液、ボイラー水、水道水、地下水、河川水、雨水などのようにpH緩衝能が小さく、導電率も低いサンプルの測定は、pH指示値がふらつき安定しない、あるいは再現性がないなど非常に難しく、次のような問題が生じます。

  1. サンプルのpH緩衝能が極めて弱いために、pH応答ガラス膜のpHに対する応答が遅くなる。
  2. 同様の理由から、微量成分の汚染(測定容器、大気中の成分など)がサンプルのpHに影響を及ぼす。
  3. 比較電極の液絡部において、液間電位あるいは流動電位が発生しやすい。
  4. 比較電極から流出する内部液がpHに影響を及ぼす。

1. 流れ状態でサンプルを測定する(フロースルー式)

  • フローの測定系(セル)を作製する。
  • ガラス電極、比較電極(スリーブ形もしくはダブルジャンクション形)、温度補償電極を用いる。
  • セル全体をシールド箱の中に納めて測定する。
  • 比較電極がサンプルの流れの下流に位置するように配置する。
    (応答には時間がかかるため、指示値が安定するまでしばらく待つ必要があります。)

2. 清浄な密閉容器を用い、窒素またはアルゴンガスでパージする

  • ガラス電極、比較電極(スリーブ形もしくはダブルジャンクション形)、温度補償電極を用いる。
  • 外部からの電気的ノイズによる障害を受けやすいため、測定はシールド箱の中で行う。
  • 比較電極の内部液の影響を抑えるため、比較電極のスリーブをガラス電極の応答部 より下に位置するように配置し、サンプルをゆっくり攪拌する(300rpm程度)。
  • サンプルが空気に触れないようサンプル容器に密栓し、サンプル液面に窒素を吹き つけると、空気中の二酸化炭素の影響を抑えることができる。

 

 

[測定手順]

  1. ガラス電極を標準液で校正し、純水で洗浄する。
  2. サンプルを測定容器に注ぎ、電極を10分以上浸しておく。
  3. 測定容器と電極を新しいサンプル(2.とは異なる液)で共洗いする。
  4. 洗浄液の容器や電極はろ紙やティッシュペーパーなどで拭わず、ぬれたままでサンプルをゆっくり泡立てないように注ぎ、サンプルのpHを測定する。

3. 測定に適した電極を用いる

堀場製作所では、低導電率水・非水溶媒用に次の電極を用意しています。

低電気伝導率水・上水用pH電極 (型式:9630-10D)
ガラス応答膜の高純度化により水道水や100~150μS/cmの低導電率水での高速応答を実現。
専用の洗浄液(型式:230)によりいつでも安心して素早い測定が可能。

イオン液体塩橋搭載pH電極 (型式:9600-10D)
新開発のゲル化イオン液体塩橋を採用しており、KClを出さずに液間電位差をより安定させ、低電気伝導率試料で正確で素早い測定が可能。

スリーブToupH電極 (型式:9681S-10D)
低電気伝導率・非水溶媒での応答性が優れたガラス膜を採用。
液絡部は可動スリーブ形で一般用としても使用可能。

4. pH電極をサンプル液にあらかじめ浸しておき、サンプル液で充分共洗いする

[測定手順]

  1. 標準液校正、純水洗浄。
  2. サンプルと同種の液に5分程浸しておく。
  3. サンプルの一部を用いて、共洗いする。
  4. サンプルのpHを測定する。
  5. 手順3.に戻る。

水質製品情報


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