
プラズマエミッションコントローラ RU-1000
概要
タッチパネル用フィルムやガラス基板は反応性スパッタリングにより基材上に成膜が行われます。反応性スパッタ法は真空中でスパッタ粒子に酸素や窒素と化学反応させながら成膜する手法ですが反応ガスの定量供給法では成膜速度が遅く実用化が困難とされていました。しかし反応性モードと成膜速度の早い金属モードの間に不安定なのですが成膜速度が大きく変化する遷移モードが有りプラズマ発光強度から反応ガスを制御することで遷移領域を保持出来ることが知られています。
プラズマエミッションコントローラ RU-1000はプラズマ発光強度をセンサーで捉え独自のアルゴリズムにより自社製高速応答マスフローコントローラに適切な反応性ガス流量の指示を行い金属モードに近い成膜速度の向上と共に安定な成膜を実現します。
特長
- プラズマエミッションコントローラ RU-1000は成膜速度向上のために使用します。反応性ガスの定量供給法に対し遷移領域で反応性ガスをコントロールすることにより数倍の成膜速度が得られます。
- 幅の広い基材に対してプラズマ発光強度センサーを複数台取り付け、これらの信号により反応性ガスを高速制御しますと極めて均一な成膜を行うことが出来ます。
- プラズマエミッションコントローラ RU-1000は光学技術を得意とする堀場製作所とガスコントロールで優れた技術を持つ堀場エステックが製品化したアフターサービスが行き届いた国産製品です。
メーカーの特徴
プラズマエミッションコントローラの製作にあたり プラズマ発光強度を計測する光学基本設計は(株)堀場製作所が担当し反応性ガス流量を高速で制御する機能部の設計は(株)堀場エステックが担当いたしました。堀場製作所は自動車排気ガス分析計や薄膜計測および理化学分析分野のトップ企業でありこれら分析技術の基本原理は光計測技術に有ることからプラズマ発光計測はこの道のトップ企業が担当したことになります。一方反応性ガス流量の制御部については世界の半導体製造装置に最も多く採用されているマスフローコントローラ(ガス流量制御装置)のメーカが担当いたしました。プラズマエミッションコントローラ RU-1000は堀場グループ技術の粋を結集することによりさらに技術の高みへの進化に挑戦してまいります。
デモンストレーションをご希望されるお客様へ
弊社ではお客様のシステムにマッチし安心してご採用いただく目的に、コントローラとプラズマ計測部等のシステムを貸出いたします。
お手数ですが、下記のアイコンをクリック頂き必要事項を入力してください。
弊社担当者より、ご希望日や必要なシステムなどのご確認させていただきます。
製造会社: HORIBA STEC
測定原理
制御技術
スパッタ法はターゲットに高電圧を印加することで真空チャンバー内に導入した不活性ガスアルゴン(Ar)を電離させてプラズマ状態をつくり、この中でArイオンが負電位であるターゲットに衝突し、ターゲット材料が飛散し、対象物に付着することで成膜されます。
<反応性スパッタの制御技術>
反応性スパッタ法は導入する反応性ガスの流量に応じて成膜速度が大きく異なる状態を示すことが知られています。この状態には3つの領域(モード)が存在します。これらのモードは、1)メタルモード、2)遷移モード、3)反応性モード、と呼ばれています。反応性ガス流量が少ない時は通常のスパッタ法に近い状態となり、成膜速度が早くターゲット材料が金属の状態で飛散するためメタルモードと呼ばれています。それに対して反応性ガス流量が多い時には、ターゲット材料がガスと反応しながら化合物として飛散するために成膜速度が遅く、反応性モードと呼ばれています。さらに、この領域の間にはヒステリシス特性を示す領域(遷移モード)が存在します。従来、この遷移モードでは反応の挙動が不安定であるため、成膜には用いられて来ませんでした。しかし、遷移モードでの制御が可能に成れば成膜速度を向上させることが出来ます。
遷移モードでの制御を可能にしたのがプラズマエミッションコントローラ RU-1000です。
<遷移モードの制御技術>
遷移モードによる成膜では、わずかな反応性ガス流量の変化ですぐにメタルモードあるいは反応性モードのどちらかに移行してしまいます。そのため、遷移モードで成膜を行うためには、反応性ガスの流量を高速に制御することで成膜速度を一定に保つ必要があります。そこで次のことが必要になります。
- 現在の成膜速度の状況を示す信号を常にモニタリングする。
- モニタリング信号が指令値に収束するように反応性ガス流量を高速で制御する。このとき成膜速度の信号は応答性良く検知することが求められるため、膜厚計の信号ではなくプラズマ発光強度あるいは放電電源のインピーダンスを用います。これらの信号は成膜速度と比例関係にあり、反応速度も速いことから、モードの変化を示す信号として最適と言えます。
1)に必要な機器がプラズマエミッションコントローラ RU-1000であり、2)に必要な機器が堀場エステック製マスフローコントローラ SEC-N100 Seriesです。
アプリケーション
プロセスの最適化に貢献する流体制御機器・プラズマ計測機器
残留ガス分析計 MICROPOLE System
チャンバ内の微量残留ガスを計測します。
MICROPOLE Systemは取付が簡単なコンパクトサイズであり、操作性のよい制御部との構成で、現在ご使用のコーティングシステムへの装着が容易です。また拡張機能として、PCとの複数台の同時接続や、チャンバ内の残留ガス状態を解析するソフトウェアもご用意しています。
液体材料気化システム VC システム
微量の水分や液体材料を気化し、添加するシステムです
機能性フィルムのプロセスにおいては、微量の水分(H2O)をチャンバへ気化し添加する事で、形成する薄膜の機能性が向上するといわれています。
プラズマ発光分析モニタ EV-140C システム
プロセスのプラズマ発光分析を行います。
CCD検出素子により200〜800nmの広い波長範囲を、最少取込時間20msec、最大分解能2nmで同時計測可能です。
マスフローコントローラ SEC-N100 Series
プラズマの変化に高速応答で対応する
プラズマ光の変化を捉え反応性ガスのコントロールを行うには高速応答のマスフローコントローラ(以下MFC)が必要と成ります。半導体製造装置向けMFCの作で世界トップシェア※を持つ当社は本装置に最も適したMFCを提供致します。
※ 2014年当社調べ
マスフローコントローラのご紹介
マスフローコントローラの原理やアプリケーションをはじめ、お困りごとを解決して頂けるページをご準備しています。