-50~50°Cの低温域でも高精度に測定できるHORIBAの放射温度計

放射温度計は低い温度(マイナス域~常温域)の温度測定が苦手?

物体の表面温度を触れずに測定できる放射温度計。その測定原理は物体表面から放射される赤外線をサーモパイル などの赤外線センサで検知して、温度に換算しています。(詳しくは、「赤外線と放射温度計 」、「放射温度計のしくみ 」をご覧ください。)
放射温度計の測定原理についてお話しすると、「温度の低いものからは、赤外線が出ていなさそうなので、放射温度計で測定することはできないのでは?」とか、「低温では測定精度が極端に悪くなるのでは?」とおっしゃる方もいらっしゃいます。
しかし、低温の物体であったとしても、表面温度に応じたエネルギーの赤外線を放射しており、放射温度計で温度測定をすることができます。
プランクの放射則 によると、温度が高いほどエネルギーは大きく、放射されるエネルギーのピークは短波長側にあり、温度が低いほどエネルギーは小さく、放射されるエネルギーのピークは長波長側にあります。
以下の図は、それぞれの対象物温度において放射されるエネルギーを表しており、波長のピークを点線で結んでいます。
常温~マイナス数十度程度の対象物から放射される赤外線の波長のピークは10μm前後ですが、HORIBAの放射温度計の測定波長域は8~14μmですので、他の波長を選択するよりも、より高精度に測定することができます。

放射エネルギー密度 放射光波長

更にHORIBAでは、独自開発の高感度なサーモパイルを採用しており、低温域での測定精度や安定性に定評があります。
以下の表は、ハンディタイプの高精度放射温度計IT-545N×5台で、それぞれの温度に設定した黒体炉 を測定したデータ例です。
基準の黒体炉において、非常に精度良く測定できていることがおわかりいただけるかと思います。

(単位:°C)

黒体炉温度 No.1No.2 No.3No.4 No.5
-49.0-48 -49-48 -48-49
-19.9-19 -20-19 -19-20
0.30.5 0.30.4 0.40.3
23.023.0 23.023.0 22.923.0
50.050.0 50.150.1 50.049.9
(周囲温度:23℃、相対湿度:53%、放射率:1)
ハンディタイプ 高精度放射温度計 IT-545N
ハンディタイプ 高精度放射温度計
IT-545N

低温域でも高精度に測定できるHORIBAの放射温度計は、-50℃からの範囲で国家標準とのつながりを証明する「トレーサビリティ証明書 トレーサビリティ体系図 」や、定められた基準に基づき校正されていることを証明する「校正証明書 」の発行が可能(有償)であり、食品の温度管理やFPDの製造プロセスなど、低温域でも高精度を求められる様々な用途で活躍しています。 次章では、具体的なアプリケーション例をご紹介します。

 

常温や氷点下などの低温域で活躍する放射温度計のアプリケーション例

-50~50°Cの低温域でも信頼性が高いHORIBAの放射温度計は、低温域を精度良く測定したいとのニーズがある、以下をはじめとした様々な用途で使用されています。

冬の路面温度測定 冷凍、冷蔵食品の品質管理 FPD製造プロセスの温度管理 抹消循環障害(冷え)の研究 発酵食品の品質管理

①発酵食品の品質管理(10~40℃)

酒づくりにおける麹づくりや、もろみづくり工程において、麹菌の繁殖に伴う発熱のため温度が常に変化します。この微妙な温度変化を測定して、発酵状況を管理するために、非接触、高精度で、素早く衛生的に測定できるHORIBAの放射温度計が活躍しています。

  • 事例該当機種:IT-545N
  • ユーザー事例【佐々木酒造株式会社様】
    「精緻な温度管理で、高品質の酒を安定的に造る」 

②抹消循環障害(冷え)の研究(10~35℃)

冷え症などの抹消循環障害の研究では、10℃の冷水に手指を10分間浸し、引き上げた後の指先の温度を測定する冷水負荷試験が実施されます。高精度に素早く測定できるHORIBAの放射温度計なら、指先の微妙な温度変化を見逃しません。また、スポットタイプの放射温度計であれば指先をピンポイントで測定できます。

③FPD製造プロセスの温度管理(23~25℃)

ガラスは温度むらがあると歪みが生じます。高繊細なプロセスが多いFPDの製造プロセスでは、大型のガラス基板に温度むらがあると、歪みにより加工位置がずれてしまうため、ガラス基板全体が一定の温度になるよう温度管理されているプロセスがあります。従来は、一定温度に安定化させるために、十分な待ち時間を設定していましたが、高精度に温度測定ができるHORIBAの放射温度計を使用することで、所定の温度に安定したことを速やかに確認することが出来るようになり、待ち時間を大幅に短縮しました。HORIBAの放射温度計が、生産性の向上に貢献しています。

④冷凍、冷蔵食品の品質管理(-18~10℃)

食品衛生法では、食品の種類等により、氷点下や低温度に保存温度が定められており(乳類:10℃以下、包装凍結肉:-15℃以下等)、スーパーマーケットにおける冷凍、冷蔵ショーケースの食品の温度チェックや、食品工場における冷凍、冷蔵材料受入時の温度チェックに非接触で素早く衛生的に測定できるHORIBAの放射温度計が活躍しています。また、調理済み食品では、風味を損なわないために保存温度の管理を徹底する必要性が注目され、高精度な放射温度計へのニーズが高まっています。

  • 事例該当機種:IT-545N
  • ユーザー事例【全日本空輸株式会社様】
    「保存剤を一切使用しない機内食だから、温度を厳しくチェック」

⑤冬の路面温度測定(-25~5℃)

気温が氷点下になる冬の路面凍結は大事故の原因にもなります。放射温度計を設置した路面の定点測定や、車載して走行しながら広い範囲の路面を測定することにより、人が氷点下などの低温度環境で温度測定をする負荷を低減できます。また、測定結果によって道路に設置されている電光掲示板に「凍結注意」の表示を出したり、凍結防止剤散布の判断をすることができ、放射温度計が冬の道路の安全安心に貢献しています。

[HORIBAグループ全社休業のお知らせ]
誠に勝手ながら、2022年10月7日(金)~10月10日(月)はHORIBAグループの全社休業日となります。この間にいただいたお問い合わせにつきましては、10月11日(火)より順次対応いたします。ご不便をお掛けしますが、ご理解、ご了承いただけますようお願いいたします。

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