3. 実際のアプリケーション

ガス分析はあらゆる産業において必要不可欠な技術です。昨今では特に、カーボンニュートラルの実現に向け世界中で加速する水素などの次世代エネルギー開発や、省エネ・省資源・環境負荷低減という視点でも、工業プロセス監視・環境規制強化などにおいて極めて重要な役割を果たしています。
HORIBAは、赤外線によるガス分析の分野において65年を超える歴史をもち、これまで様々な形で地球環境保全や産業・科学技術の発展に寄与してきました。そして今、自動車産業や石油化学プラントなど、幅広い分野でより高精度なガス分析技術が求められており、HORIBAはIRLAMの開発と展開によって、これまで測れなかったガスを測る新たなソリューションを提案します。

1. 自動車産業における排出ガス分析(自動車セグメント)

1965年、米国での自動車排出ガス規制スタートを契機とした排出ガス計測ニーズの高まりに応えるべく、HORIBAは国産第1号となる自動車排ガス測定装置(CO, CO2, HC計)を製品化しました。さらに、その後、規制対象成分が増え、また規制値も強化されてきたことに対応する形で、各種分析計やサンプリング技術の開発を継続してきました。特に、自動車分野の主力製品であるラボ試験用のエンジン排ガス測定装置は、世界の多くの国の認証機関で採用され、世界シェアの80 %を占めています(2020年 当社調べ)。

しかし近年では、従来の大気汚染物質に加えて温室効果ガス(N2Oなど)の規制が導入されたり、実路での排出ガス規制(RDE規制)が各国で採用され始めたりと、測定対象が多様化し、求められる計測技術もより高度になってきています。

HORIBAはIRLAMを、従来のNDIRでは困難な計測成分や計測精度の課題に対して最適のソリューションとなる、次世代技術(Advanced NDIR)と位置づけています。
2030年頃までの規制導入・強化が見込まれる以下の成分およびRDE規制に対して、IRLAM技術を応用した製品を順次ラインアップし、自動車の電動化が進展する中でも、自動車産業全体での低エミッション化に向けた重要事項である、エンジン搭載車の環境性能改善に貢献します。

【現在、規制導入が検討されている成分(一部の国/地域では既に規制導入済み)】

  • 有害物質:アンモニア(NH3)、ホルムアルデヒド(HCHO)
  • 温室効果ガス:一酸化二窒素(N2O)、メタン(CH4
エンジン排ガス測定装置 MEXA-ONE
HCHO分析計 XLA-13H
N2O分析計 XLA-11
車載排ガス計測システム OBS-ONE-XL(NH3/N2O)

* 車載排ガス計測システム OBS-ONEの製品外観は変更になる可能性がございます

2. 石油化学プラントにおけるガス計測(環境&プロセスセグメント)

石油化学プラントでは、生産性向上、品質改善、環境負荷低減などが喫緊の課題となっており、石油化学製品の製造プロセス制御の最適化が求められています。プロセス制御を最適化するには、より高感度で安定して連続計測できる新たなソリューションが求められています。

HORIBAは、石油化学プラントの特定プロセスへの新たなソリューションとして、IRLAM技術を搭載したプロセス用レーザー分析計を提供してまいります。例えばエチレン(C2H4)の製造プロセスでは、原料ガスである高濃度原料ガスである高濃度(%レベル)のメタン(CH4)やエタン(C2H6)中に低濃度(ppbレベル)のアセチレン(C2H2)や二酸化炭素(CO2)が不純物として含まれます。IRLAMを搭載したプロセス用レーザー分析計では、このプロセスにおいて原料および不純物のガス濃度を高速応答(3秒でのガス置換)で計測できます。不純物のガス濃度についてはさらに、高感度(ppbレベル)で計測できます。これらの計測データは、プロセス制御の最適化に貢献できます。

【IRLAM搭載 プロセス用レーザー分析計のベネフィット】

  • 高感度で安定した高速連続ガス計測によるプロセス制御の改善
  • 分析計オペレーションコストの低減
  • 分析計設置面積の低減
プロセス用レーザーガス分析計 PLGA-1000

* PLGA-1000は米国から販売開始され、日本では国内の防爆認証取得後の販売開始を予定しています。

3. IRLAM技術によって実現する大幅な性能向上

① 車両排ガス試験におけるホルムアルデヒド(HCHO)の測定結果の例:当社従来の赤外ガス分析技術(FTIR)に比べ、検出感度が10倍以上改善

② 一酸化二窒素(N2O)分析計における干渉影響の試験結果の例:当社従来の赤外ガス分析技術(NDIR)では不可能であった干渉ガス影響をほぼゼロにすることを実現