
分光エリプソメトリー & 分光エリプソメーター
分光エリプソメトリー & 分光エリプソメーターとは
分光エリプソメトリー(Spectroscopic Ellipsometry: SE)は、入射光と反射光の偏光の変化量を波長ごとに計測し、得られた測定データをもとに光学モデルを作成、フィッティング計算をすることにより薄膜の膜厚(d)および光学定数(屈折率 n、消衰係数 k)を非破壊、非接触で求める分析手法です。この分析手法を用いる装置を分光エリプソメーター(Spectroscopic Ellipsometer)といいます。
エリプソメーターは半世紀以上前から、半導体業界や光学コーティングにおいて、主に単層膜の膜厚測定手法として用いられてきました。20世紀終わりからは分光エリプソメーターに入れ替わり、単層の膜厚測定だけでなく、多層構造の膜厚や光学定数、サンプル表面のラフネス、界面の状態などバルクや薄膜に関する多くの情報を得ることが可能になりました。
分光エリプソメトリーでわかること
分光エリプソメトリーでは、バルクの光学定数、表面粗さ、薄膜の膜厚、光学定数(n&k)のほか、薄膜材料の物質特性として、界面状態、結晶性、組成、光学バンドギャップ、光学異方性、電気特性(抵抗率、移動度、キャリア密度)や深さ方向の均一性など多くの情報を求めることができます。さらに、固体に限らず、液体の光学定数や液中における液体―固体界面などの評価も可能です。
膜厚 | 光学定数 | 材料物性 |
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分光エリプソメトリーの特長
- 非破壊・非接触で膜厚測定と膜質評価
- わずかな表面状態の変化を敏感に捉える高感度測定
- 数Åの極薄膜~数十μmの厚膜まで膜厚測定可能
- 単層・多層構造の膜厚、光学定数評価
- 未知の材料の膜厚と光学定数が一度に求められる
- 反射強度に依存しない
- 表面粗さ(ラフネス)が大きいサンプルでも測定可能
- 液体の光学定数評価
- 液中における液体―固体界面評価
分光エリプソメトリー応用分野・用途
- 半導体・化合物半導体
- ディスプレイ
- エネルギー
- 化学・材料物性
- 金属
- バイオ・ライフサイエンス
- 光学・バリアコーティング など
研究開発のスピードアップのみならず、生産の歩留まり向上や品質管理など幅広い用途に使われています。